事業承継を成功に導く唯一つの方法

日本には、中小企業が400万超存在しますが、経営者の高齢化とともに後継者がいないために廃業する会社が増加の一途を辿っています。

ここでは、事業承継にお悩みの経営者を対象に、経営の引き継ぎ(親族内承継や従業員承継)を中心に「どうして事業承継がうまくいかないのか?」、そして「どうしたら成功に導くことができるのか」についてお話します。

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代表 川原一紀
経営コンサルタント/株式会社マネジメントオフィス・K代表取締役
会計事務所系大手コンサルティング会社の上席執行役員を経て、2008年に独立。企業再生・事業承継・人材育成を中心に数多くの企業への指導実績を誇る。

事業承継がうまくいかない本当の理由

多くの経営者の方が事業承継に悩んでおられます。わたしたちのもとにも、そうした相談が数多く寄せられています。ここではコンサルタントとして数多くの事業継承に関わってきた長年の経験から、事業承継につまずく本当の理由と、どうしたら成功裏に次代の後継者に委ねることができるのか、順をおって解説したいと思います。

まず経営者の方がもつ事業承継のお悩みベスト5を見てみましょう。

事業承継のお悩みベスト5

  1. 後継者はいるが、経営者として足らないところがある
    * 資質や姿勢に問題があり、経営理念が共有できていない
  2. 社員(とくにベテラン社員)の強い反発がある
    * 古参社員の協力が得られず、抵抗勢力となっている
  3. 借入金が残っている
    * あらかた返済するまでは経営を任せられない
  4. 後継者を誰にするか決められない
    * 候補は複数いるが、抜きん出たものがおらず、誰にすべきなのか...?
  5. そもそも後継者がいない
    * 身内にも社内にも安心して任せられるものがいない

多くの場合、経営者の方がお嘆きになるのは、後継者の資質について「自分の代わりにならない」ということです。そのため、後継者候補にセミナーや研修などを受けさせてみるのですが、お話を聞くかぎり、そのような「後継者教育」が上手くいった試しはありません。

事業承継とは、いわば、これまで上手く回っていたはずの会社という歯車から、経営者という重要なパーツが抜け、それを新しいパーツに付け替えることです。そこで上手く回らなくなると、必然的に新しいパーツ(すなわち後継者)に原因があると考えられてしまうわけです。それこそが間違いのもとなのですが、実際に中小企業の経営者の方たちのなかでは、これまで会社で一緒にやってきたベテラン社員たちよりも、ご自身に近いしい後継者の側にその責を押し付けてしまうケースが多いようです。

もちろん、非の打ち所がないような完璧な後継者などいるはずもなく、多かれ少なかれ欠点を抱えているものですが、事業承継云々を語る以前に、これまでとこれからの会社という組織のあり方そのものに焦点を当ててみると、違った見え方がしてくるはずです。

後継者のせいにせず、会社の問題を直視する

むしろ、こう考えるべきです。― 上手くいかないのは、新しいパーツが合わないからではなく、もともと存在していた問題がこのタイミングで一斉に吹き出してきたのにすぎないのである、と。

事業承継前にも、あなたの会社は色々な問題を抱えていたはずです。それを見ようとはしなかったのか、よくも悪くも、ご自身の力で抑え込んでいられたのか、会社としては何とか回っていたわけです。しかし、この新しいパーツに取り替えようとするや否や、たちまちパワーバランスは崩れ、何もかもが上手くいかなくなる…。前社長の影響力がなくなると、古参社員たちは反発を始めるかもしれません。あるいは逆に、新社長との軋轢を恐れて、中心的な役割を担ってきた幹部たちが十分に采配を振るうことができなくなる場合もあります。企業としての司令系統は乱れ、ガバナンスが揺らぎ始めます。何がいけないのか? 会社の内外からは、こうしたこと全てが後継者の資質に起因するように見えてしまうわけです。実際に、後継者に問題がないというわけではありませんが、それが事業承継を困難にする本質的な理由ではない、ということを理解しなければなりません。

後継者の資質や姿勢、能力に満足できないのは自然です。しかし上手くいかないのを後継者のせいにして、付け焼き刃の知識を身につけさせたところで、何の解決にもなりません。長年かけて積み重ねてこられた人間関係や仕事のやり方、そして見過ごされてきた潜在的な問題等々が複雑に絡み合ってできていた、前経営者を中心にしたバランスを再現することは不可能なのです。

とすれば、次代に会社を継承するために、なすべきことは明らかでしょう。

すなわち――会社に内在する全ての問題を洗い出し、それを後継者も含めた会社の構成員すべてに共通の問題として認識させ、全社的に問題解決に取り組むこと――です。

もちろん、その問題とは、企業の業種業態、規模、人数、収益性や組織体制などによってさまざまです。しかし長年、数多くの事業承継に携わってきた経験から共通して言えるのは、このような問題に対して全社的に取り組むことなしには、事業承継を成功に導くことはできない、ということです。

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事業承継に失敗するパターン 1〜3

それでは事業承継を困難にしてしまう典型例を挙げてみましょう。

  1. そもそも問題がどこにあるのか分かっていない
  2. 問題の共有ができていない
  3. 結果、責任をウヤムヤにして、人のせいにする

詳しく見てみましょう。

1. そもそも問題がどこにあるのか分かっていない

企業の抱える問題というのはさまざまです。

たとえば、

  • 利益が出ていない
  • 借入金が多い
  • 組織が硬直化している
  • 幹部社員にリーダーシップが欠如している
  • 人材が育っていない・育てられない
  • 戦略がない・立てられない・立てても実行できない
  • ...

これらの問題があったとしても、根拠のない楽観論に頼って、現状を追認してしまっていないでしょうか。

2. 問題の共有ができていない

このような問題は、社内のうちの誰か一人(社長であれ社員であれ)が気付いていればよいというわけではありません。

むしろ、社内の「全員」がそれを自分の課題として引き受けることが必要であり、 全社的に共有されてはじめて、その解決に向けて取り組むことができるものなのです。

3. 結果、責任(問題の原因)をウヤムヤにして、人のせいにする

しかし実際には、それができないから責任の所在も曖昧なものとなり、 互いに罪のなすりつけあいをする無責任の体系ができてしまうか、 非難されやすい人に追求の目が向けられることになるわけです。

このような悪しきシステムが出来上がっている状態に、新しい後継者、 それも若くて経験も足りない経営者の身内が放り込まれたとしても、 上手くいくはずはなく、人身御供にされるのがオチではないでしょうか?

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事業承継を成功に導くステップ 1〜3

それでは、事業承継を成功に導くためのプロセスをまとめてみましょう。

  1. 後継者を含めた社員それぞれの問題点を洗い出す
  2. これらの問題点を全員が共有する
  3. その改善に向けて全員で取り組む

ここで重要なのは2点です。

第一に、会社の問題が結局は「人」の問題であり、個人の責任に帰着するということです。

会社が上手くいかなくなる要因はさまざまですが、それに責任をもつことができ、それを課題として解決する主体となりうるのは、会社を構成する個人にほかなりません。たとえ、外部環境が原因で業績が悪化したとしても、それを予測し対処するのは、結局は「人」です。従って、会社の問題を洗い出すとき、たんに一覧を作成するのではなく、それが後継者含め経営陣、そして社員個々の責任であることを認識させることが重要です。

第二に、こうした問題をたんに個人に分からせるだけではなく、全員が共有することです。

会社の問題は個人に帰着し、同時に個人の問題は社員全員の課題であると言ってよいでしょう。もし社員各自に認識のズレがあったとしたら、責任回避の余地ができてしまいます。このような共通認識がなければ、各自の課題解決に向けた努力がバッティングしたり、社としての方向性がまとまらなくなってしまいます。

では、具体的にどうすればよいのでしょうか? メールで回覧するだけでは、他人事で済んでしまいます。一人ずつ呼び出して説得したとしも、逃げ道が用意されてしまいます。組織とは惰性を好むものであり、このような消極的な方法では何も変わらないでしょう。何よりも、このように楽な手段に頼ろうとしたり、周りを気にして断固とした態度を示さないでいると、経営者自身が責任回避しているように見えてしまい、そのような態度が全社的に許容されてしまうのです。

そうではなく、公開の場で、できることなら社員全員の前で、我社にはこのような問題があり、それが誰それの責任であることを明示し、各自に納得させることが必要なのです。そうすることによってはじめて、会社の問題は、個人が引き受けるべき課題であり、自分が解決すべき問題なのであると、社員全員に認識されることができるのです。そして、会社という組織がこのような体質に生まれ変わりさえすれば、社員はおのずと会社の課題を発見し、自律的に課題を解決するという好循環が生まれることになるのです。

現経営者に問われていること

これは事業承継にとどまらず、弊社のコンサルティングの基本原理でもあります。経営の引き継ぎとしての親族承継・従業員承継に特徴的なこととして言えば、このような社員の意識改革は、後継者に引き継ぐ以前に、現経営者の権限と責任において行うべきであり、また、それがないと速やかな引き継ぎは、きわめて困難になるということに注意しなければなりません。

でなければ、好き勝手に動く古参社員たちとリーダーシップを発揮できない後継者だけが残され、会社は方向性もなくガバナンスもなく、日々の業務に忙殺されながら、少しずつ破綻に向けて沈んでいくことになるでしょう。そうなると、われわれコンサルタントとしても救いようがなくなってしまいます。

ですから、そうなる前に経営者たるあなたが現役のうちになすべきことをするほかありません。

経営者に問われているのは、こういうことです。

  • 各自に対して遠慮することなく問題点を指摘できますか?
  • 本人だけではなく、社員全員の面前で全員に分からせることができますか?
  • 必要とあらば叱咤激励して、会社全体を問題解決に取り組むように仕向けることができますか?

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弊社では、皆様のご参考となるよう実際にあった事業承継事例をもとにEブックを作成しました。以下のフォームから無料でダウンロードができますので、ぜひご活用ください。

事業承継〜一人ぼっちの後継者〜PDF版

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今から10年前に事業承継のため、二年の期間指導に入った愛知県のとある総合電気会社。 事業年数は創業から40年、事業規模は20億、一般電気事業部と太陽光事業部からなっている。 従業員は合わせて約40名、創業時は一般電気事業部のみで、先代が「儲かる仕事」としてみつけてきたのが、 太陽光の設置工事であり、それが会社の発展を牽引してきた。...
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